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2005年11月17日 (木)

自作寓話「紅葉(もみじ)」(1996年卒業文集に)

  • 9月3日アスベストの調査が行われ、その時点で「外見からは本校は大丈夫、心配ない」という評価をいただいておりましたが、さらに念を入れてサンプル調査をしてもらっていましたが、このたび、その結果が届きました。全く問題ないということです。ご安心願います。
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  • 昨日、今週の華道作品をご紹介しましたが、今日、さらに追加されております。
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■本日午前出張、午後職員会議のため、記事作成の余裕がありませんでした。自作寓話掲載でご了解願います。ちょうど紅葉の季節にあう内容です。

     紅  葉(もみじ)
 夏が過ぎて、秋がきた。
 051117typhoon_past_sun_sun 夏の暑い陽射しの中で、力をみなぎらせていた木立の葉っぱが冷気のしのびよりと共に、枯れはじめた。
 もみじも例外ではない。でも、もみじにはどの葉っぱも表情に暗さがない。いづれ真っ赤になって、通りすがりの人々の感嘆の声を聞けるからである。もみじの葉っぱたちは、
 「今年はどれくらいの人が見にきてくれるだろうか?皆の力で人々を楽しませようね。みんな、それまで、力を蓄えよう ね。元気のない子がいたら助け合おうね」
  と励まし合う。だから、みんな生き生きしている。
 そんな中で、一枚の葉っぱがつぶやく。
 「ふん、何だよ。皆で一緒になんて、一人前のもみじのやることじゃないぜ。一人の力で人々を楽しませてこそ、一人前のもみじなんだ。僕みたいに一人で生きる力があれば、皆と  一緒でなくても本当の喜びを得られるのさ。見てな」
 そのもみじは自分一枚だけさっさと紅くなり始めた。
 その一枚だけが多くの葉っぱの中で紅くきらきらする。  
 「ほう、もう紅くなっている葉っぱがあるよ。綺麗だね」
 「ほんとうだ。たった一枚だけ。とても綺麗だわ」
 一枚だけ紅くなった葉っぱ君は得意になった。
 「ほら、僕みたいに実力さえあれば一枚だけでも十分に人の目を楽しませることができるのさ」
 ところが、その葉っぱ君に同調する者はいなかった。ほかの葉っぱたちは紅くなるのをじっと我慢している。
 先に紅くなった一枚が散りかけたころ、葉っぱたちは蓄えた力をいっせいに吐き出した。もみじの木全体が燃えるように色づいた。
 051117momiji 先に一枚だけ紅くなった葉っぱ君が憎まれ口をたたいた。
 「今頃、みんな仲良く紅くなったって、一枚一枚の力は大したことないじゃないか。くだらないことさ」
 ところが通りすがりの人々は誰も彼もが、燃え盛る紅葉に、
「うわー、きれい、すばらしい、心がおどるね、いつまでも散ってほしくないね」
 と賛嘆の声を惜しまなかった。
 早々と紅くなっていた葉っぱ君が、
 「こんなはずではなかったのに」
 とつぶやいたせつな、びゅんと風が吹いた。
 みんなといっしょに我慢して力を蓄えていなかった彼は、風に舞って散ってしまった。それは誰の目にもとまらなかった。とっぺんぱらりのぷう。

本日のもみじの写真は次のサイトから借用致しました。記して感謝申し上げます。

http://www.bloom-s.co.jp/shopping/zinkou/big_wafu2.html

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