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2007年2月19日 (月)

お寺を守る蛇の神様(執筆:樋口)

_mg_7965_1 ところで、 プノンペンという地名の由来をご存じですか? 私も現地スタッフの方に聞くまでは、全く知りませんでしたが、プノンペン(PHNON PENH)とは、直訳すると「ペン(人名)さんの丘」という意味だそうです。14世紀に起きたメコン川の洪水によって、この地に仏像が流されてきました。敬虔な仏教徒であったペン夫人が、その仏像を拾い上げ、丘の上に寺院を建てて祀ったそうです。それが、プノンペン市内に建つ「ワットプノン」(左の写真)という寺院です。(写真はカンボジア政府観光局のHPからお借りしました。)

Photb1

カンボジア人のおよそ9割が仏教(上座部仏教)を信仰しているそうです。そんな仏教国カンボジアらしい写真を紹介したいのですが、何しろ今回の視察旅行ではアンコールワットは疎か、前述のワットプノンも横を通り過ぎるのみで見学できませんでした。(ワットプノンはプノンペンで宿泊したホテルのすぐ近くだったので、行こうと思えば見る時間はあったのですが、ホテルに戻ったら爆睡してしまい、気づいたらすでに夜になっていたという始末で・・・)

Photb2_1 というわけで、私のデジカメに残っているのは、車窓から撮影できた寺院(らしき)ものばかりで、比較的地味な映像ばかりです。でも、むしろその方がお定まりの観光地の風景とは違った、仏教国カンボジアらしい景色を伝えられるかも知れません。(上と左の写真は、どちらも仏教寺院と思われる写真。上はプノンペン市内で撮影。左はバッタンバン州で見かけた建物。)

Photb3Photb4_1カンボジアでは至る所で仏教寺院を見かけることができますが、おそらく最も一般的な寺院は左の2枚の写真のように比較的質素な建物です。とは言え、周りの建物と比べると、やはり寺院は恵まれた立派な建物という印象を与えます。

Photb5Photb6_1左の写真も、おそらくは寺院でしょう。よく見ると、寺院の門には蛇の形をした石造彫刻が施されているのがわかります。右側の写真が門の拡大写真です。しかし、この写真では少しわかり難いかも知れません。

Photb7Photb8左の写真も、おそらくは寺院の入り口を示す門だと思われます。右側がやはり拡大写真。こちらなら、はっきりと7つの頭を持つ蛇がかたどられているのがわかるでしょう。これは「ナーガ」と言って、水を司る蛇神だそうです。ナーガは元来インド神話に由来します。インドでは、ナーガは半人半蛇の姿で、天気を制御する力を持ち、怒ると干ばつに、なだめると雨を降らすと言われています。このインド発祥のナーガが、なぜカンボジアでたくさん作られているかというと、カンボジアの建国神話に「インドの王子(あるいは僧侶)がカンボジアの地に流れ着き、ナーガと夫婦のちぎりを結んで建国した」という神話があるからだそうです。そこから、ナーガは寺院の守り神としてその門に彫られることになったのです。そういえば一番上のワットプノンの写真にもナーガが写っていましたね。また、プノンペン市内で見かけた建築中(あるいは改築中?)の寺院でも、塀の上にナーガを彫刻する石工の姿を見かけました。その手際のあまりの見事さに、さすが石像彫刻の国カンボジアだと息を飲みました。

Photb13Photb12さて、カンボジアのナーガ神話が面白いのは、それが水の守り神だとい うことです。おそらく7つの頭を持つ蛇の姿は、川そのものを象徴しているのでしょう。(日本神話にも「八岐大蛇(ヤマタノオロチ)」がいますね。これも水神と言われています。)カンボジアは1年が雨期と乾期に分かれています。私の訪れた2月はちょうど乾期でしたが、この時期のカンボジア(特にバッタンバン辺り)の農村風景は、まるっきり荒野にしか見えませんでした(左2枚の写真)。ここが雨期には田んぼになると聞かされても、にわかには信じられないくらいです。

Photb11しかし、ワットプノンの逸話にも現れている通り、雨期にはしばしばメコン川の氾濫に悩まされてもいるのです。確かにプノンペン南部のメコン川周辺地域では、非常に高い高床式の家屋をよく見かけます(左の写真)。雨期にはそれ程までに水位が上がることがあるという証拠です。なんと増水時には渇水時の20倍にも水位が増えるそうです。このメコン川の水をいかに手なずけるかという事が、昔からカンボジアの人々にとっての重大事だったのではないでしょうか。とすると、カンボジアの建国には、インドから伝わった仏教と農耕技術(特に灌漑技術)が深く関わっていることを、神話がそっと教えてくれているような気がします。そして、ワットプノンの逸話も、単に仏像が洪水で流されてきたというだけでなく、ナーガ神が仏像を運んできたという意味合いをも含み持っているのではないでしょうか。

Photb10Photb9_1さて、左の2枚の写真は国道5号線(プノンペンとバッタンバンを南北に結ぶ道路)で見かけた僧侶の姿です。右の写真のオレンジ色の袈裟に黄色い日傘というスタイルが、どことなくお洒落に見えたりするのは私だけでしょうか?(樋口)

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