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2007年3月30日 (金)

幸せの子どもの家(執筆:樋口)

Photj1「幸せの子どもの家(CCH:Center for Children to Happiness)」に到着しました。ここは、JHP・学校をつくる会が建設・管理している児童養護施設です。当初は孤児院としてスタートし、地雷やエイズによって親を亡くした孤児たちを預かっていましたが、現在では虐待や貧困による親の育児放棄によって捨て子となった子ども達も入居しているそうです。

Photj3_3ここに到着するなり、日本人スタッフのハルさんは、子ども達から熱烈な歓迎を受けます。ここの子ども達にとって、ハルさんは家族同然であり、甘えられる優しいお姉さんのような存在なのでしょう。右の写真なPhotj2どは、とても素敵な一枚だと思います。抱き合う二人の姿がまるでハートを形作っているようですね。左の写真の赤いTシャツの子がソックリー(6年生)、右のオレンジのTシャツがスレイナ(6年生)、右の写真ピンクのTシャツはスレイパオ(中学1年生)です。

Photj4Photj7 カンボジアの小学校は二部制ですので、学校のない午前か午後の時間は、こうして施設内で学校の宿題をしたり、補習をしたりします。壁にはかけ算の九九が書かれたりしています。

Photj6Photj5また、驚いたことには、ここでは算数やクメール語の勉強の他にも、英語や日本語の勉強も施しています。壁には九九の他にも、英語と日本語の対応表がところせましと貼られています。(右側の写真をよく見ると、車のバッテリーが置いてあるすぐ上の壁に「きょういく=Education」「ぶんか=Culture」と書かれています。そのミスマッチが何となくカンボジアらしくてほほえましく感じました。)

Photj9_2Photj10_1ここに飼われている二匹の犬が、見知らぬ訪問者を警戒して吠え立てます。その臆病者の犬を抱きかかえてこちらを向いている左側の子はサンボル(6年生)、その隣はこの施設の所長であるソカさんの息子さんだそうです。彼らに私が英語で挨拶すると、ごく自然に”Nice to meet you.”と返答してくれました。英語の勉強がきちんと身についている何よりの証拠です。

Photj8

この子は、ソティアン(4年生)です。自分が描いた絵をみんなに見せたくて走りまわって大騒ぎしていました。その愛嬌たっぷりの様子に思わず写真を一枚撮らせてもらました。すると、彼女は日本語で「ありがと」と一言お礼を言ってくれました。こんな小さなうちから英語や日本語を学び、身につけている彼女たちは、母国語であるクメール語の読み書きもままならない地方の子ども達と比べると、本当に幸せだとつくづく思いました。彼女たちが立派な知識人となって、この国の将来を支え、牽引してくれたら、どんなにか素晴らしいだろう、そんな想像さえ巡らせてしまいます。

Photj11Photj15この建物の離れには防音設備のある音楽室もあって、中では子ども達がバンドを組んで練習しています。音楽室には立派なドラムやオルガンが揃っています。また、建物の二階は子ども達の遊び場になっており、二階へ上る階段の壁には子ども達の描いた絵がたくさん飾られていました。

Photj13Photj12二階の遊び場は広いフロアになっていて、たくさんの絵本やおもちゃがあります。(右の写真の棚には「贈 吉行和子」の文字が刻まれています。)ここは、何から何まで本当に恵まれている。まさに子ども達にとって「幸せ」の家だ、素直にそう思わせます。

Photj16_2しかし、私がそういう感慨に耽っているちょうどその時、階下では私のそんな安易な感慨を暗転させるような、ちょっとした出来事が起きていたのです。それは、あるお母さんが二人の子どもを連れてやって来て、この施設で子どもを預かって欲しいと訴えているのでした。

Photj17「今まではウエイトレスの仕事をしながら自分一人の力で二人の子を養っていたけれども、足を悪くしてからは満足に仕事ができず、自分の力だけでは子どもを育てるのは難しい。」お母さんは泣きながら、その窮状を訴えます。思い悩んだ上の決断なのでしょう。貧しさのために親子が一緒に暮らすことすらできない。母親には如何ともしがたい現実です。子ども達は、突然我が身に起こったこの出来事に対して、どこまで理解できているのか、茫然とするしかない様子です。

Photj18そうです。ここは、子ども達にとって全くの「幸せ」の家であるはずがないのです。子ども達は皆、何らかの悲しい家族との別れを経験して、ここに居るのです。屈託のない笑顔ではしゃぐここの子ども達は、皆このような傷を心に負っているのです。私は正直、このお母さんと二人の子どもにカメラを向けることを躊躇しました。ところが、この施設のある男の子が私の袖口を引っ張って、彼らを指さしながらはっきりとこう言うのです。”Take pictures, please.”私はその言葉に励まされてカメラを向けたのでした。

Photj19折しも、今日はバレンタインデーです。プノンペン市内では若いカップルが花束をプレゼントし合うこの幸せな日に、一方で市内からさほど遠くない場所でこんなにも切ない出来事が起こっている。これがカンボジアの現実です。「幸せの子ども達の家」二階の遊び場にあるホワイトボードには、きっと子ども達が書いたのでしょう、次のような文字が書かれていました。”Valentines day ♡ May you give me a _ !”(バレンタインデー ♡ あなたから _ がもらえますように。)この空欄に入れる文字は何であるべきか。簡単な質問であるはずなのに、なぜか私には難問のように思えてしまう、そんな一日でした。(樋口)

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