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2010年12月 1日 (水)

沼津=海と波と夕焼=@生徒会誌「しばつゆ」(その2)≪大倉山五十年史vol .36≫

今日もきのうの続きで昭和40年代の生徒会誌「しばつゆ」より掲載した記事を紹介します。沼津臨海学校の体験記です。波乗りを体験されたというので、時代の先端を走っておられましたね。

今はサーフィンといいますが、昭和50年代半ばまで、サーフィンのことを「波乗り」と言っていました。

下の写真は【五十年史】の同じページに掲載した写真です。

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昭和40年代の生徒会誌「しばつゆ」より(その2) 

【 沼津 =海と波と夕焼= 】

    「しばつゆ」1964.3月より

「真赤な太陽。七色の光を発散した夕焼。果てしなく続く深緑の海。そして、青味がかった空。そこには孤独が漂っていた。」

「きれいだ!・・・」

私は思わず、まばたきをしそうにつぶやいた。海の向こうに沈む太陽が、甘い哀愁と、優しい者を投げ出していた。

夕焼けで海までも赤くなった人気のない海岸へひとっぱしりに走って待ってみたかった。・・・私は一人になりたかったのだ・・・・・。

悠々とせまってくる素朴な波、そして神秘なこの夕焼け。私はこんな大自然を、かつて見たことがない。

「素敵だわ!・・・・」

そう思って、飛び上りたい程に不思議に、嬉しくなってしまった。

『横浜にはあんなきれいな夕焼も、あんなに素朴な波もない。あるのはごった返す群象と、絶え間ない雑音だけだ。』

大陽がもう少しで地平線に、隠れそうになった時、何故が急にこんな複雑な思いが、私の胸に涙が流させた。

 海から上がって、入浴にはまだ間があるので、廊下に立って海を見ていた私は、こんなロマンテックな私になっていた。

それでいてさっきまでの楽しく、おかしかった波乗りのことを思い出して、思わず顔がほころぶ自分が、はがゆかった。

 ザーザーザブーン、ザザザーザザザー。

海は荒れていた。

寄せては引き又寄せる大波を相手に、必死に戦っていた私。

時々、波と私のタイミングが狂って、波の中へほうり込まれる。そうなったらお家の一大事だ!。

無我夢中で、起き上がろうとする。しかし、勢いの激しい波は、小さな私をまるで、小石でも運ぶ様に、海岸ぎわ迄、運んでしまう。

海中では自分がどうなっているのか、さっぱりわからない。でも、小石までもが私をいじめるのが解った。

頭も顔も水の圧力によって小石におしつけられ、面白なく負傷だ。塩からい海で、その痛さは何とも言えなかった。

波の勢いもなくなった頃、

「もう平気だ。」 

と思って、海水にぬれた顔を、手でふきふき起き上る。

でもいじわるな波は、やっと戦いからのがれた私を、すかさず後から、白いしぶきを立てて、凄い勢いで追いかけてくる、又、前に倒れてしまう。今度はひざこぞう位の所なので、直ぐ起き上がれる。

私はこわくなったので、砂浜までかけて逃げた。

波が非常に憎らしく、口惜しかった。

それに笑っている友人も、うらめしかった。砂浜に立って思いっきり波を、にらみつけてやった。

でも、こんなに興奮している私を無視したかの様に波は、相変らず単調な動きと、憂愁を漂わせていた。

しかし波は、憎らしいが、優しくなる時もあった。

タイミングが、がっちり合って、高い波にのって、そして、波が過ぎて行く時の気持の良さ。すっーと。

丁度ブランコをこいで後に返る時の様な、全く軽快な心持だ。

そんな時は浜で、波に笑ってあげる。だって自然と口元に笑いが漂ってしまうんですもの。

余りにも胸がずっーとして……。

「サエちゃん、もう行ってみない?」

波のりのことを、一つ一つ思い出していたら、背後にこんな声がした。私は我に返って、洗面道具とバスタオルを取りに室へ急いだ。

以上です。昨日の方もそうですが、このころの大倉山高校生は書く文章書く文章、大変文学的ですね。読んでいて行間にさまざまなものを想像させられます。

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