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2013年7月31日 (水)

(連載小説)  火文字(13)

小説火文字の連載をまことに怠っておりました。半年ちかくも放ったらかしで申し訳なく存じます。 一度書きあげて研修誌に発表したものなので簡単な加筆修正でことたりると思っていたのが間違いでした。いま発表するにはちょっと手を加えなければならないところが多く、きょうまでになってしまいました。今後も間隔があくかもしれませんが、ご理解願います。

※左欄カテゴリー「小説火文字」をクリックすれば
 前回まで全部を読むことができます。
 今回から初めてお読みになる方はぜひ(1)から
 お読みいただければと存じます。

写真は、平成20年(2008)3月撮影のものです。華道部の皆さんが生けてくれたものを、校内の各所に飾ってくれた華道作品です。

今日の小説の内容に華道作品が出てきますので、掲載しました。

4枚目と5枚目は玄関に飾られたものですが、脚本家小山内三江子先生寄贈の織物も額に入れて飾ってあります。

 ※写真はクリックしてご覧ください。

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(十三)

 こんな時間だが電車の中に女子高生らしいのがいる。自分の学校の生徒でないのが救いだったが、ルーズソックスにミニスカート、背中にはよれよれのビニル袋、やれやれだ。

 女子高生を見かけたことで、和夫の脳裏に先日の火文字片付けの際の事故が蘇った。鉄パイプに打たれた久保洋子は、保健室の沢田先生の診立てで、脇腹の腎臓部位を打っているようだと言われた。念のため病院へと言われて、近くのM病院で診断を受けた。幸い久保洋子の怪我は単なる打ち身ですんだ。もし腎臓などが傷ついていたら何年も治癒しないだろう。和夫は教育力量のなさを嘆くどころじゃなく、停職、いや辞表を出せと言われても文句の言えないところだった。

 火文字鉄骨やぐらを解体する現場を離れた教師和夫の過失はそれほど重大であった。久保洋子が単なる打ち身ですんだことは不幸中の幸いであったのだ。洋子の治療費は「学校安全会」から支払われたが、安全会からの支給があるまでの全額を和夫は立て替えた。

 事故から一月ほどたった頃、和夫は久保洋子がマニキュアしているのを見つけて叱責した。

 自分の不注意で大事にいたらせることがあった生徒であっても、校則違反をしていたら指導するのが当たり前だ。若いころの和夫なら、世代共有感覚が災いして、叱責におよばず、軽く話して終わっていたことだろう。自分の不注意で傷つけたことから気おくれはあったが、俺も少しは教員らしくなったかなと和夫は思った。注意を受けた洋子が、ごめんなさい、すぐにとりますとしおらしかったのが気おくれしていた和夫の心をほぐしていた。

 あやまって廊下を去っていく洋子の向こうに、「やっぱり注意されたのじゃないの」と言っている同級生の姿がみえた。その横には華道部が生けた花が飾られていた。

            (14)につづく

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